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有事の資金対策と平時の経営戦略について

2020年05月25日

新型コロナウイルス感染拡大によって中小企業は、未曽有の大危機に直面しております。私も、正直3月の初旬まではここまでひどくなるとは思いませんでした。リーマンショックや東日本大震災を遥かに上回る危機が今目の前に立ちはだかっているといっていいと思います。未曾有の事態を引き起こしたコロナウイルスですが、1日も早く感染拡大が収束し、経済活動が復活することを心から願っております。

さて、このような未曽有の事態を目の前にすると、いつも思い出すのが、リーマンショック時における資金対策です。当時、弊社では毎朝5時30分に全員出社して当時の所長であった父がトップダウンで指揮を執り、400社を超える顧問先1社1社に対して資金対策を講じていたことを今日のことのように思い出します。そのときの父の顔は鬼のような顔で全員に指揮命令をしていたと思います。そうです。有事の経営スタイルは間違いなくトップダウンでなければなりません。

有事における資金対策はどのようなことを講じなければならないでしょうか?結論からいいますと、あらゆる資金対策(融資、補助金、助成金等)を講じてお金を引っ張るだけ引っ張るが正解です。リーマンショック時に、我々SS経営コンサルティンググループは、たくさんの事業再生案件を抱え、必死に経営の立て直しを行っていました。そのときに再生できたところと、そうでないところと明暗を分けたのはいったい何だったのでしょうか?それは、現金が潤沢にあるかないかです。利益が出ているか出ていないかではないのです。現預金が潤沢にあるとどうなるか?復活までの時間稼ぎをすることができます。しかしながら、どんなに内部留保があったとしても、現金がほとんどない状態であると、対策を講じる間もなく資金がつきてしまいます。事業再生案件になると真っ先に行わなければならないものは何かというと、リストラクチャリング、すなわち、不採算部門の切り捨て、有休資産売却、もしくは、人件費削減も含んだ固定費削減です。なぜか?現金化するスピードが一番早いからです。もちろん売上増加のための施策を講じないというわけではありません。同時並行的に行っていくのですが、売上を作り、安定資金を作っていくためにはどうしたって時間がかかるのです。再生案件になったということは、基本的に既存の売上は減少傾向にあるわけですから、新しい取引先を開拓する、もしくは新しいビジネスモデルを構築していくことになると、それこそ少なくとも3年くらいかかるのが普通ではないでしょうか。ましてや、人を育てるという施策に関しては、さらに優先順位が下がってきます。少なくても10年はかかるからです。資金化のスパンとしてリストラは1年、売上3年、人材育成10年!
後者2つは、平時にきちっとやっておかなければならないことなのです。

少し話がそれましたので、資金対策に戻します。先ほど、私は、お金はできるだけ早く引っ張っぱるだけ引っ張るが正解だと申し上げました。今回も、新型コロナウイルス感染症対応資金として様々な制度融資が一般枠とは別枠で用意されています。できるだけ早くと申しているのに、経営者の皆さんは少し躊躇することがあります。その理由は大きく分けて2つあります。

1つは、利息です。例えば今回の日本政策金融公庫より新型コロナウイルス感染症特別貸付が用意されています。最近1ヶ月の売上高が前年又は前々年同月比で5%減少していれば、小規模事業者の場合には、最初の3年間実質金利年間0.46%で無担保無保証で借りることができます。しかし、皆さんこの0.46%に躊躇します。なぜか?それは今回のこのケースの場合に、もしも売上が20%以上下がる場合には、無利息で借りることが可能だからです。

飲食業の場合には、コロナの影響をもろに受けるので、すぐに20%ぐらい落ちてしまうケースがほとんどなので、これに該当していきますが、例えば建設業・工務店・製造業の場合に、すぐに影響がでるわけではないので、なかなか20%まで下がらないというケースが往々にしてあります。その場合にはどうすればいいのか?自分は、少しでも売上が下がり、融資条件に該当するのであれば、まずは利息を気にせずに、できるだけ早く借入を起こしていく方が賢明だと考えます。なぜか?例えば、3000万円の融資を考えた場合に、年利0.46%ということは、年間138,000円しかかかりません。月額で表すと11,500円ほどになります。この有事にほんの携帯代を払うくらいで、3000万円の資金を引っ張ることができるのです!もし、なかなか売上が20%超なかなか下がらなくて、それこそ3か月後に下がったとしても、そのころには、借入の申し込みも殺到しており、融資が下りるのがそこから2か月後3か月後になるとか、例えば、今回の経済変動対策貸付(静岡県の制度融資)のように突然500億の融資枠が終わってしまうということもあり得るのです。今回の制度融資は、また4月28日より再開したからいいものの、申し込みが遅れたことにより、特別枠を使えなかった、もしくは遅れてしまい、資金ショートを起こしてしまうなんてことがあれば大変です。建設業や製造業のようにコロナの影響が遅れてでてくるようなところは、大津波が目の前まで来ているのに今の資金が何とか回っているうちは、借りなくてもまだ大丈夫かという気になってしまいます。有事だからこそ迅速な経営判断が求められるのです。特に、今は大丈夫と思っていても、資金をギリギリで回している中小企業は、すぐに手当をする必要があります。

次に借り入れに躊躇する理由は、借入そのものを毛嫌いしているということがあります。なんとしても無借金にしたい!その気持ちは素晴らしいと思いますし、最終的に無借金経営をしていくことは、会社の経営体質を強くしていくことは間違いないです。
しかしながら、資金が回らなくなっては元も子もありません。今の現状の資金繰り、ビジネスモデルを勘案して、一体どれくらいの資金があれば、回るのかは冷静に判断しなければならないのです。しかも借入をすると返さないといけないからということで借りないという経営者の方もたくさんいらっしゃいます。そういう方は、借入そのものを悪だと感じてしまっているケースがよくあります。それは、大きな間違いです。中小企業は、ある程度金融機関とお付き合いをしながら成長していかないと、業種によっては、かなり難しい側面があります。借入を起こしたとしても、金融機関は、利益をきちっと出せる体質であれば、そして内部留保がきちっとあれば、資金を融通してくれます。つまり、日頃から利益体質にしていくこと、つまりこの利益の積み立てである内部留保こそが、金融機関からの資金調達の呼び水になるのです。
ですから、しっかりと、利益を出していれば、このような有事のときには、借入を起こしても怖くないですし、今現在利益がでなくなってしまった場合には、しっかりと借入をして、時間的猶予を稼いだうえで、アフターコロナでしっかりと利益を出せるように知恵を絞っていくことが大事になるのです。
では一体どれくらい借入を起こしていけばよいのでしょうか?おおよそですが、これは、固定費(借入の元金返済も入れる)の6ヶ月分くらいあればひとまずいいと思います。1年分くらい起こせれば、それが理想ですね。では、売上がゼロになったとして、半年持つところが一体どれだけあるでしょうか?私の経験則でいうと、おそらく数えるほどしかないでしょう。だからこそ、できる限り目一杯融資をしていくことが大事になるのです。
あとは、今回の制度融資では、措置期間が設けられていますので、借入が嫌いだからといってすぐに返してしまうのではなく、できる限り目一杯長く措置期間を設けてできる限り長い返済期間をメイン銀行にお願いするようにしてください。
今回の新型コロナウイルス感染拡大によっていつまで自粛が続くかわからないからこそ、しっかりと資金対策を講じるのが大事になってくるわけです。

その他の資金対策には、雇用調整助成金持続化給付金、そして働き方改革推進支援助成金IT導入補助金、また、ものづくり補助金といった施策があります。是非有効活用してもらいたいところです。これら申請は非常に混みあいますのでできるだけ迅速な経営判断をしてもらいたいと思います。

税制面でも、国税等の納税猶予が当たり、固定資産税の減免等もありますので、専門家としっかり連携して活用していくことが大切になってきます。

ずっと、有事の資金対策についてお話ししてきましたが、こういうことがあるからこそ、平時にいかに危機感をもって経営をするかということが大切になると今回の件でつくづく感じています。外部環境が安定しているから、まあこれくらい使ってもいいだろう、節約なんてしなくていいいだろうと思ってしまうと、このような大不況になるとあっという間に経営が立ち行かなくなります。これからの時代は激動期です。このような不況は10年間に何回かは来るのが当たり前と思っておかないといけないのかもしれません。非常に厳しい時代です。経営の神様ピータードラッカーはこのように言っています。「ほとんどのマネジメントが、苦境に陥ったときにしか、『われわれの事業は何か』を問わない。もちろん、苦境時にはこの問いかけをしなければならない。事実、そのようなときに問いかけるならば、めざましい成果をあげ、回復不能に見える衰退すら好転させることができる。(中略)しかし自ら苦境を待つことは、ロシア式ルーレットに身を任せるも同然である。マネジメントとしてはあまりにも無責任である…「われわれの事業は何か」を真剣に問うべきは、むしろ成功しているときである」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)
このような事態になったからこそ、ドラッカーの言葉は、経営者にとってはあまりに重い言葉であると感じます。

我々SS経営コンサルティンググループも、新型コロナウイルス感染拡大という外部環境の強烈な変化と強制力によって、経営スタイルを変えざるを得ないことになりました。その最も大きな変化はWEB会議、WEBコンサルティングの導入です。私たちは、顧問先に対して、月間66件の経営会議サービスを行っています。今までは、必ず来社して頂き、未来の数字を組み立て、社長の経営戦略を共に練っていたのですが、今の状況では会うことすらできません。ですので、ZOOMを導入しWEB経営会議にすべて切替させていただきました。結果として商品価値の低下を起こすことなく、スムーズに運営できており、お客様にも喜んで頂いております。
しかし、逆にここで私はこう思ったのです。

「いったい今まで我々は何をしていたのだろうか?」

WEB会議の流れはコロナの前から来ていたのですが、自分自身いろんな言い訳を作って、重い腰を上げることをしませんでした。しかし、実際は、本気になったら、1ヶ月たらずでできてしまったのです。逆にいうとなぜ今までやらなかったのか?なぜやらなきゃと思いながら、なぜ重い腰を上げることができなかったのだろうかと経営者としての自分自身に問わざるを得ませんでした。
だからこそ、思うのです。平時にこそ、本当にこの事業でいいのかを真剣に問い、本当に価値を生み出すところに経営資源を投入し、無駄な経費を徹底的に削り、新しい顧客を生み出し、価値提供を最大化し、内部留保を厚くしていくことに集中していかなければなりません。

今は長いトンネルですが、いつかは必ずこの不況も抜けます。その時に私たちはまた試されます。「ああよかった」と気が抜けてしまうのか。それとも、「我々の事業は本当にこれでいいんか」とそこでもう一度問うのか?経営者のとしての質が問われているようでなりません。
我々も、2年足らずで17期募集まで来た「経営輝塾」をコロナの影響でずっと延期にしておりました。しかし、今だからこそ、中小企業の経営者に提供したい!改めて経営を真剣に考えてもらいたいと思い、ZOOM開催を決意しました。
今、なかなか営業に行けない!動けない時だからこそ、経営を一緒に考えていきましょう!真剣に経営を考えたいと思う若手経営者・後継者の方は是非ご参加頂きたいと思います。

また、こういうときだからこそ、社員を教育したい!もう一度仕事の基礎を学ばせたいと思われている経営者の皆様は、是非、雇用調整助成金(教育訓練)を活用して、私たちがご提供させて頂いてる各種WEBセミナー・WEB研修受けて頂きたいと思います。
経営者の皆様、共にこの激動期を突き抜けましょう!!

この記事は私が書きました

代表税理士 鈴木 宏典

税務財務コンサルティングのみならず、コーチング手法による会社のコンセプトメイキング、ビジョンメイキングを通じたコンサルティングを得意とする。東京・大阪・名古屋・仙台等でセミナーを行い、中小企業のみならず、同業者である税理士のビジョンをもかなえるべく、事務所の仕組化を全国に広めている。

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