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「鬼滅の刃」から知る事業承継~先代との対立に悩む後継者へ~

2020年12月22日

 

「会社を承継したものの、先代である親との喧嘩が絶えない」
「先代の親のやり方を全て否定したくなる」

事業承継をしたものの、先代である親との確執があり、
このような悩みがある後継者は少なくないのはないでしょうか。

私もこの気持ち、とても分かります。
なぜなら、書いている私自身が2代目後継者であり、親子の確執に悩み、自暴自棄になった経験もあるからです。でも、現在は乗り越えて先代と和解し、最高な形で事業承継できたと感じています。だからこそ、今悩んでいる後継者には、自分がどのように先代である親との確執の壁を乗り越えたか伝えたい。同じように最高の形で事業承継をしてほしい。事業承継してよかったと思ってほしい。そんな思いでこの記事を書いています。

そして今回は、話題の漫画「鬼滅の刃」を例にあげ事業承継について語っていきます。鬼滅の刃好きにはもちろん、そうでない後継者でも分かりやすくお伝えします!

1.「鬼滅の刃」の奥深さ

映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」の興行収入が公開から59日間で302億円を超え、歴代1位に迫る勢いです。コロナ禍とはいえ、本当にすごいですね!ちなみに、今回はこの興行収入がなぜ短期間で爆発したかということについて語るつもりはありません。そうではなく「鬼滅の刃」のストーリーが大変深く、経営にとって、特に事業承継にとって非常に大事なことを分かりやすく伝えているので、ここを語りたいと思います。ちなみにストーリー解説をするつもりはありませんので、「鬼滅の刃」を見たことない人は、是非、漫画やアニメで見られることをお勧めします(笑)。
とはいえ、まったく触れないわけにはいきませんので、少し内容を触れることにします。一部ネタバレも含みますのでご了承の上ご覧ください!

舞台は、大正日本。炭を売る心優しき少年・炭治郎の日常は、 家族を鬼に皆殺しにされたことで一変します。唯一生き残ったが凶暴な鬼に変異した妹・禰豆子を元に戻す為、また家族を殺した鬼を討つ為、2人は旅立ちストーリーが始まるという話です。これだけ聞くと、主人公炭治郎の個人的復讐のための鬼退治のように見えるのですが、まったくそうではありません。この突然出てきた鬼というのが、桃太郎のように始めから鬼という種族ではなく、もともとは人間だったのがあるきっかけで鬼になってしまうのです。「鬼滅の刃」では炭治郎の敵としてたくさんの鬼が出てくるのですが、共通して言えるのが、鬼になってしまう背景が何とも切ないということです。鬼になる前の人間は、みな共通して不遇な環境に生まれ、苦労をして育ちます。貧富の格差等によるひどい人種差別やいじめを受けながらも何とか食らいついて幼少期を過ごします。「いつか見返してやる!」その一心で、尋常でない苦労をしながらも一部の親切な人の助けを借りて何とか自分自身の生きる道をつかみとります。しかしながらそんな幸せも長くは続かず、再びくだらない人間の醜い短絡的な行動によりやっとつかみ取った大切な人や環境のすべてを失ってしまいます。こうして自暴自棄になった人間は、絶望の末に怒り狂います。そんな中、鬼の創始者である「鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)」と出会います。「鬼にならぬか?」と呼びかけられ、彼の血を受け入れ、鬼になることを選択します。鬼になるとその対価として永遠の命と無敵の強さを手に入れます。しかし、その代わりに鬼は人間を喰って生きていかなければならず、さらには鬼になったことにより、昔の記憶を葬り去られることになるのです。鬼の強さは人間を喰った数によって増幅します。鬼に変貌した彼らは、その無類の強さを手に入れるため、脇目も降らずに無慈悲に人を喰い続けます。最終的には、これら鬼たちは炭治郎が所属する鬼滅隊(鬼を退治するために作られた人間の特殊部隊)によって成敗されることになります。そして、首を取られ自分が消えゆくその死に際に、この鬼たちは少しずつ人間だった自分を取り戻していきます。それは、自暴自棄になる前の記憶・・・妬みや復讐心、優しさや愛情、いろんな感情を思い出していきます。鬼になってまで何のために強くなりたかったのか?人を喰ってまで、醜い姿になってまで、手に入れたかったものは何だったのか?何にとらわれていたのか?・・・そして、封印されていた昔の記憶を取り戻します。本当に叶えたかったことは何だったのか?貧しいながらも親から一心に受けていた愛情や優しさを徐々に思い出します。「本当の本当は鬼になりたいわけではなかった・・・本当は、ただただ幸せになりたかった・・・」鬼は泣きながら後悔をします。炭治郎はそんな鬼たちに地獄へいって罰を受けることを伝えながらも情けをかけます。そして次に生まれてくるときは鬼にならぬようにと・・・。なんだかとても切ない話ですよね。

2.身近に起きる“鬼化現象”

でも、このようなことって実は自分たちの身近でも起こっていることではないでしょうか?
ここまで極端でなくても、私たちもいつの間にか鬼になってしまっていることってないでしょうか?

では、ここにいう鬼になるってどういうことでしょうか?
自分は思うのです。
鬼になるというのは、何も姿や形のことではないと。すなわち、鬼になるとは、鬼滅の刃のような鬼のような行動「嫉妬心や囚われから発生する負の感情(怒りや悲しみ)によって人の背景や想いが見えなくなる、もしくは受け取れなくなり、自分の本当の想いとは違う行動をしてしまうこと」ことではないでしょうか。

人が鬼になってしまう典型に、猟奇的な殺人事件があります。世の中が豊かになり、警備体制が整っている現在でも、このような事件は後を絶ちません。罪のない人が事件に巻き込まれ、命を落としてしているのです。もしも身近な人にこのような悲惨な事件が起こってしまったらと思うと、とても他人事には思えません。このような事件を耳にするたびに胸を締め付けられる思いがします。殺人を犯した人は、まさに「鬼滅の刃」でいう鬼ではないでしょうか。何かがきっかけで自暴自棄になり、自分の本当の思いや感情を封印し鬼になってしまったのかもしれません。近所の人のインタビューでは、「普段は大人しくて、とてもそんなことをするような人ではないと思っていたのに・・・」と口をそろえていいますよね。しかし、その背景を知ると決まって不遇な幼少期を過ごしています。貧しい暮らし、親からの暴力、ひどいいじめ等です。その恨みやもうひっくり返せない関係性のジレンマから世の中を否定し、自暴自棄になり、我を忘れ、殺人に走るのでしょう。だからといって私はこの殺人鬼を許すつもりはありません。殺人は、絶対に許されることではありません。自分の犯した罪は、当然国で定められている法律に従って裁かれるべきです。罪を犯した人たちは、罰を受ける直前に、してしまったことの罪深さに後悔をすることになるのでしょう。もしかしたら鬼のまま、何の後悔もないまま、罪を受ける人もいるのかもしれません。

そのような罪人に対して激しい怒りを覚える一方で、こう思うこともあります。実は、幼少期にいじめている人が本当の鬼なのではないかと。犯罪者を鬼に変えた周りの人間こそ本当の鬼なのではないかと。何気にいじめていることも、何も考えずにからかい半分にいじめに加担してしまっている人も、本当は鬼なのかもしれません。だって、いじめられている人のどんなに辛いのか、どんなに悲しいのかがわからなくなってしまっているのだから。もしかしたら、この人たちは、昔いじめていたことも忘れ、今のうのうと生きているのかもしれません。人は自分のとらわれた感情によって、人の背景を見ることができなくなったときに、いつのまにか鬼になっているのかもしれません。殺人鬼のように分かりやすい鬼もいれば、自分でも気づかないうちに自分の本当の想いとは違う行動をしてしまい鬼のようになっている場合もあるかもしれないのです。

 

3.事業承継で起きる“鬼化現象”~大塚家具の大塚久美子氏のケース~

さて、話を経営の話に戻しましょう。経営こそ、人間関係が複雑であり、もっとも鬼が出やすい環境なのかもしれません。その中でも最も感情的に折り合いをつけるのが難しいのが事業承継です。いつの間にか後継者が、身近に起きる鬼化現象で述べたように、いつの間にか先代が鬼になってしまうケースは多々あります。その典型例である大塚家具のケースを見てみましょう。

2020年12月10日に発表した大塚家具の2020年10月中間決算の単体純損益は15億440万円の赤字となり、大塚家具代表取締役社長である大塚久美子氏はとうとう自ら退任を発表しました。ここまでになってしまった原因は多々あるとは思いますが、中でも最も大きな理由の一つは、創業者と後継者である親子の対立なのではないでしょうか。お家騒動が表面化したのは、ちょうど5年前の2015年3月に東京都内で開かれた大塚家具の定時株主総会でした。大塚久美子社長の続投と創業者で父の大塚勝久会長の退任を求め争いましたが、採決で会社側の議案が賛成多数で可決され、久美子氏側が勝利しました。私からすれば、これは子供による親の公開処刑です。父親からすれば何とも言葉にできない屈辱だったことでしょう。ここまでくると、公開処刑をしたほうはしたほうで、親のやり方をまったく肯定できなくなります。つまり自己呪縛です。「親の偉大さに負けてなるものか!世間に親の方が優秀だなんて言わせない!親の真似などするものか」という意地とプライドととらわれが、久美子社長を鬼にしてしまったのかもしれません。それ以来、大塚家具の成績は下降の一途をたどり、経営危機に追い込まれ、自身も退任を余儀なくされたのです。

朝日新聞2018年8月5日の朝刊で、父の大塚勝久社長は「相談があれば助けられた。親バカですね。親って本当にバカなんですよ。」とおっしゃっています。裏切られても、子を思う親の気持ち、胸が張り裂けそうになります。でもその声は、鬼になってしまった久美子社長にはもう届かなかったのかもしれません。私もよくは存じ上げないのですが、個人的には、大塚久美子社長は、とても優秀な社長であり、素質も十分だったのだと思います。いつかのテレビ番組でも、久美子社長はプレゼン能力も高く、頭も切れ、皆の前で堂々と話す姿はまさに後継者にふさわしく勝久会長の自慢の娘だといっていました。しかし、何かのボタンの掛け違えで、親子関係にひびが入り、経営戦略まで狂わせてしまう。それほどまでにとらわれた負の感情は恐ろしいものなのです。しかも自分が鬼になっていることすら気づかないから恐ろしいのです。本来の目的を失い従業員を巻き込み家族を傷つけてまで手に入れたかったのは一体何だったのでしょうか?今、久美子社長が何を思うのかを考えずにはいられません。

4.鬼になりかけた私の事業承継の経験

4-1.鬼になりかけた過去

そんな私も、鬼になりかけた後継者の一人です。父のやり方をすべて否定し、父を罵倒し、「そこまで自分のやり方が気に入らないのなら経営方針発表会に出るな」と父に言われ、欠席を余儀なくされました。父は私に大切なことに気づいてほしかったのでしょう。「親子の関係が壊れるくらいなら事業承継なんてしなければよかった」いつも母は自暴自棄になっている私を見て泣いていました。そんな思いも耳に入れず、すべてを父のせいにし、税理士をやめてやる!と豪語し、なぜ税理士になってしまったのだろうか?と後悔し、自分に起こっている不幸はすべて自分以外のせいにしていました。

4-2.最高の事業承継

しかし、私は我を忘れてしまう一歩手前で気づくことができました。お客様の助け、社員全員の助け、周りの先生方の助け、そして母を中心に大切な家族の助けに恵まれ、自分は自分の過ちに気づき、自分が変わり、父と和解することができました。今ではこうして、税理士としてみんなと充実した毎日を送ることができるようになりました。こんな私もSSフェスタというセミナーフェスタを浜松で開催できるようになり、250人もの人に来ていただけるようになりました。その会場で母が本当に嬉しそうにお客様一人一人にあいさつをする姿を見て、やっと少しは親孝行ができるようになったのかなと胸が熱くなりました。お客様が会場いっぱいに埋まったフェスタの風景を母と二人で眺め、「これが自分が描いていたビジョンだったんだ」と母に語り、母が「本当によかったね。宏典、苦しんだけどお父さんの後を継いで本当によかったね。お母さんはそれだけで胸がいっぱいだよ」と言っていたのを今でも思い出します。そんな矢先、2018年12月、母が大動脈解離で突然天国に旅立ちました。69歳という若さでした。その前日まであんなに元気だったのにと、今でも信じられません。母にはもっと自分のこれからの姿を見届けてもらいたかった。それが今の本音です。でも一つだけ思うことがあります。それは、もしも、自分が父と和解せず、鬱屈したままの状態で母が亡くなっていたら、母は本当に悲しかっただろうなと思います。私自身も取り返しのつかないような後悔の念にさいなまれていたかもしれません。最後に、最高の形で事業承継ができ、父と本音で事業を語り、後継者の自分が活き活きと輝いている姿を見せることができたことは救いだったと思います。

5.経営者を鬼にしないための塾【理念策定塾】

私も顧問先のたくさんの事業承継に携わらせていいただき、そのたびに親子の確執にぶつかりいろんなお悩み相談を受けます。しかし、親子の確執をなくすのは本当に至難の業です。自分の思いがなぜわからないのか?とお互いがお互いを責め、相手の背景や思いに気づこうとしないのです。親子の確執は、経営を一緒にしているうちはずっと続きます。あるときが来るまで親の思いに気づくことはありません。それは親が亡くなるときです。人は亡くなると、その人に対する気持ちが浄化され、とらわれの感情がなくなり、本当の気持ちに気づくのです。すると、親がどれだけ子供のことを思い、厳しく接してきたかに気づくのです。決まって後継者はこういうのです。「親父ともっと話をしておけばよかった」と。

私は、できれば亡くなる前に後継者に気づかせてあげたい。自分の本当の思いに気づき、親の本当の思いに気づくことを。本当は親を罵倒したいわけではないのだと。本当は、親に認められたいし、自分も親を認めたいということを。SS総合会計では、毎年「理念策定塾」を開催しております。おかげ様で3期が終了し、いつも後継者を中心とした若手経営者で満員になります。私は、実はこの「理念策定塾」は経営者を鬼にしないための塾だと思っています。すなわち、鬼になってしまっている自分自身に気づき、自分の囚われの気持ちから解放され、本当の思い=経営理念に気づき、この不完全な環境を自分が切り開く覚悟をする、まさにプロセスこそが理念策定塾なのです。少しでも多くの後継者がこの塾を通じて、親子の確執の悩みから解放されることを願ってやみません。

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6.事業承継の本質は想いのバトンをつなぐこと

そして、もう一つ最後に伝えたいこと、それは事業承継とは本当に尊いということです。実は「鬼滅の刃」にそのヒントがあります。

すこし内容に触れることにします。マンガ16巻で鬼の創始者である鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)は、鬼滅隊の長である産屋敷耀哉 (うぶやしきかがや)を追い詰めます。しかし、そこで産屋敷からひょんな質問を受けます。「君は一体どんな夢をみているのかな?」と。答えられない無惨に対し、「君の心が私にはわかるよ。君は永遠を夢見ている・・・不滅を夢見ている・・・」見事に心を読まれた無惨は少し狼狽します。そして、産屋敷は続けてこういいます「君の夢は叶わないよ無惨 君は思い違いをしている 私は永遠が何か知っている 永遠というのは人の想いだ 人の想いこそが永遠であり不滅なんだよ」と。

これを見た時に、私は体中に電流が走りました。自分では気づいていなかった事業承継の本当に大切なことを教えられたような気がしたからです。事業承継の本質とは、想いのバトンをつなぐことではないかと。人の命は永遠ではありません。母が死んでしまうなんてことは生きているときは考えてもいなかったですが、身近な人が逝ってしまうと、自分も含め人の命には限りがあることを思い知らされます。今は、M&Aが流行っていることもあってか、後継者も、とくにバトンをつなぐということは意識せず、自分のやりたいことをいかにやるかを考える社長が多くなりました。「後のことなんて知らない!自分がやりたいことをやってやる!どうせ死んでしまうんだから」激動期で会社が生き残れるかわからないこのご時世においては、このような刹那的な考え方になってしまうのも無理もありません。でも、もう一度考えてほしいのです。

この世の中で永遠なのは、命ではなく、人の想いなのです。先代が苦労をし、大変な想いをして会社を気づきあげ、その物語を継ぎながら、またそこに後継者として新しい物語を紡ぎだし、次の世代に思いのタスキを渡す。もしそれが100代続けば、100人の物語が重なり合って今ができていて、その想いや背景を感じながら、自分たちの物語を継ぎ足していく。そしてそれをまた次世代につないでいく。こんなに尊いプロセスが他にあるのでしょうか。その脈々と流れるたくさんの物語に思いをはせれば、そんなに簡単に会社をつぶすこともできないですよね。これは事業承継に限った話ではありません。人間そのものだってまさに承継の連続なのではないでしょうか。遥か太古からご先祖様が繋いで今があるのです。そのような壮大なストーリーを思えば、人を殺すことなんてできないですよね。

7.まとめ

是非、後継者の皆さんには、この事業承継そのものの価値を感じていただきたい。そして、迷いながらも、鬼になりかけながらも、自分の色を少しずつ加えていってほしいのです。こんな私も、今でも父とまだ親子喧嘩します(笑)。「あ~、もういつになったら本当に経営権を渡してもらえるんだ!!」なんて怒りの感情にとらわれ、今でも鬼になりかけています(笑)。でも、最近は、我を取り戻すコツをつかんできています。そして何より、自分が命を与えられ、この世に残したい想いをみんなで叶えるために、そして明日へのバトンをつなぐために、尊い尊いプロセスを一つずつ丁寧に味わっています。全国の後継者の皆様も1日1日を大切にかみしめて生きられるようこれからも全力で応援していきたいと思っております。

これら事業承継については、「次世代経営者のための経営輝塾」でもお伝えしております。
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この記事は私が書きました

代表税理士 鈴木 宏典

税務財務コンサルティングのみならず、コーチング手法による会社のコンセプトメイキング、ビジョンメイキングを通じたコンサルティングを得意とする。東京・大阪・名古屋・仙台等でセミナーを行い、中小企業のみならず、同業者である税理士のビジョンをもかなえるべく、事務所の仕組化を全国に広めている。

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