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キャッシュの急激な減少が有事の経営判断を焦らせる!

2022年01月07日

・新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、中小事業は非常に苦しい状況に

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、中小事業は非常に苦しい状況にあります。これは、まさにリーマンショック以上の不景気が来るのではないかという恐れすらあります。
そんな時だからこそ、我々SS総合会計では、必至に資金調達を社長に進めております。

・有事の資金対策は、とにかく手元のキャッシュを増やすこと

別のコラムでも書きましたが、有事の資金対策は、とにかく手元のキャッシュを増やすことが大事です。そのためには、国や県からの制度融資を活用して特別枠を目いっぱい使って借入を起こす。それもできるだけ早く起こしていく。そして、できるだけ長い返済期間で借りていく。「3年たったら返すと決めているからな!」とか言って勝手に3年といった短い期間にこちらから設定しないということです。できるだけ長く!少なくとも10年以上の返済期間を設定して、3年で返せるようになれば、そのときに考えるが正解です。そして措置期間も目一杯使う。「一定期間返済しなくてもいいよ」と国が言ってるわけですから。優先順位が一番低いのは利息です。しかし、ほとんどの経営者が利息を一番気にします。

はっきり言います。利息は手元資金の減少にほとんど影響を及ぼしません

例えば3,000万円に対する1%の利息は、年間30万円です。月額は2万5千円です。たったの2万5千円です。それで3,000万円の資金が手元に残ると考えればかなり助かります。それよりも、10年返済を3年にするといったらどうでしょうか?年間1,000万円の返済か300万円の返済になるのかの違いになるのです。手元資金の減少に1年間で700万円も影響してくるのです。利息=30万円と返済期間=700万円の違いです!どちらが優先かは一目瞭然ですよね。とにかく、有事の資金対策は、どんな手を使ってでも手元資金をできるだけ長く潤沢にしておくことが重要となります。

しかしながらなんです!これだけ説明しても借入を嫌がる社長様はいらっしゃいます。自分達プロから見ても明らかに借入をしたほうが良いと思っているのにも関わらず借入を躊躇します。

・借入をしたくない理由

1つの理由は、借入に対する過度の恐怖心があるからです。コロナによる不景気は、売上を半減させます。いや、それ以上の落ち込みが出てきます。そうなると、急激にキャッシュが減少していくのではないかという恐怖心が生まれます。借入をすれば、当然借入返済額も増えてくるので、余計に恐怖心が増してきます。返済額の多さから、借入はもう絶対にしない!もし返せなくなったら、連帯保証人である自分が自己破産して家も売って一文無しになる!という理論展開になってきます。もっと感情的になると「売上下がって赤字になるのに、これ以上借入したら、自分が自己破産して一文無しになる!」といった理屈にどんどん返還されていきます。かなり飛躍した展開です。

このようになってしまうのは、未来のシナリオを見える化していないからなんです。
まず、資金の話からしますね。究極、企業経営は、資金が枯渇したらアウトなんですね。ですから、運転資金が回らなくなったせいで、例えば手形や小切手に関して半年間で2回の不渡りを出してしまうと、銀行取引が停止となり、事業を継続する事が非常に困難な状態となるわけです。とにかく資金ショートを起こさないことが企業を継続する上でとても大事なことになるわけなのです。
それでも借入をしないということであれば、例えば売上が半減した場合に、融資を受けずにいったいどれくらいの資金が持つかシミュレーションしてみるといいと思います。
例えば、製造業の場合に、売掛金や在庫をたくさん抱えている場合には、売上が下がると、逆に資金繰りがよくなることもあります。なぜなら、前に売上げた分の売掛金が入金されたり、在庫が減るとキャッシュに変わってくるからです。
しかし、持続化給付金とか、雇用調整助成金等は、申請が通ったとしても入金が遅れるため、気を付けなければなりません。つまり、固定費はそのまま支出される期間が続くということです。そのように1つ1つの収支を資金繰り表に丁寧に反映させていきます。するとどうでしょう。役員報酬の削減や家賃の引き下げ等、色々な策を練ったとしても、半年、1年持つところは、本当に少ないのはないでしょうか。ゆえに事業をできるだけ長く継続させるためには、まずは、借入をめいっぱい起こしていくことが大事だということになります。

・社長自身の個人資産を投げうたないといけないかどうかを図る基準は?

次に、社長自身の個人資産を投げうたないといけないかどうかを図る基準は何か?ということになります。この判断は大変難しく一言では正直言えないですが、第一段階として内部留保がゼロになるまでを一つの目安にとして考えてみてはいかがでしょうか。

よく企業体質を強くするためには内部留保が大事といいますが、この内部留保とはいったいなんでしょうか?これは、貸借対照表(バランスシート)の右下の「純資産の部」を表します。細かいことをいえば、純資産の部の中で株券と引き換えに集めた資金である「資本金」と「内部留保(利益剰余金)」に分けて記載されるわけですが、それは気にしなくてよいでしょう。呼び方は、純資産とか資本とか自己資本といったりします。算式で示すとなると、資産―負債=自己資本となります。すなわち、資産(会社にある全財産=現金・売掛金・土地建物・車・機械・備品等)のうち、そこから負債(最終的に支払わないといけないもの、または返さないといけないもの)を引いたものが自己資本=内部留保となるわけですね。

・仮に会社が解散するとどうなる?

もしもです!仮に会社がや~めた!といって解散するとどうなるでしょうか?
資金的な話をすると、現金や現金以外の資産、つまり売掛金・在庫・建物・機械・車・保険積立金、満期返戻金といった簿外資産といろいろと資産があると思うのですが、最終的にこの会社の全資産をすべて現金化して、負債を返していくことになります。
例えば、取引先への買掛金だったり、社員への未払金だったり、そして金融機関に対する借入金の返済だったり、返してもなお、余ったお金があれば、それを株主(ほとんど社長だと思いますが)に分配するというで返すというプロセスをとります。
逆に言うと、買掛金・未払金・借入金が全資産を現金化しても返せない場合には、個人の資産を現金化してでもお金を投入していく。もしそれができなければ、自己破産をするというプロセスを取るということになります(実際はそんなに単純な話ではありません。自己破産の前にたくさんの打つ手(リスケ・第2会社方式等)がありますが、この話はまたどこかの機会でお話し致します)。ですから、借入の大小が、身銭を切るかどうかを決めるわけではありません。解散の時点で、借入金がどれだけ多かろうが、それに見合う資産があれば、誰にも迷惑をかけずに解散することができるわけです。

ちなみに、この内部留保は、税引後利益を生み出せば、その分だけ積みあがっていくことになります。逆に損失を出せば、それだけ内部留保は削られていきます。そこで、一度試してほしいことがあります。例えばですが、売上が前年比30%になってしまった場合に、雇用調整助成金を使いながら必要な人材を守り、必要でない人件費はできる削減し、あらゆる補助金助成金を使って固定費を下げて、それでも損失が発生する場合に、いったい何年で自己資本がゼロになってしまうのかをシミュレーションしてみてほしいのです。
経費をできるだけ抑え、経営を最もコンパクトにした状態にしたうえで、資金ショートがどのくらいで起こるのか、そして内部留保が何年でゼロになるのかを見える化してください。そうすると取るべき経営判断が確実に見えてきます。見えないから不安になるのです。平時には、5年後のあるべき姿を見える化し、有事には、最悪の事態を見える化するのです。そうすると、恐怖がおのずと消えてくるのです(実際には、債務超過の状態になっても金融機関の支援を受けた上で厳しいながらもきちんと経営している中小企業もたくさんあります。打つ手は無限にあるのです)。

ちなみに、なぜ金融機関は自己資本額や自己資本比率を気にするのでしょうか?答えは簡単です。
会社が解散したときに、貸したお金が返ってくるかどうかを気にするからです。貸付先の貸借対照表上、負債と同等、もしくは同等以上に現金化できる資産があるかどうかは、金融機関にとっては死活問題になるというわけです。ということは、内部留保が多ければ多いほど、金融機関にとっては、貸しやすい先となるわけです。つまり、内部留保は、資金調達の呼び水になります。内部留保を厚くしておけば、いつでも銀行から借り入れを起こすことができるのです。いつでも資金調達が可能となるのです。だからこそ、長期的な資金安定を目指すためには、企業を利益体質にして、内部留保を積み上げておくことが非常に大事になるのです。

・最後にもう一度!我々経営者が今やらなければならないこと

それは、まずは資金調達をめいっぱいする
補助金・助成金を最大限活用する。
経営をコンパクトにして効率化する。
そして、それで資金と内部留保が何年持つかシミュレーションする。

最後にアフターコロナに備えて、明日の商品サービスを作るために戦略を考え、経営計画書を再策定し、長期的に内部留保を最大化するシナリオを描く。これらを是非やってみてください。
見える化こそが恐怖を打ち消す特効薬になるのです。

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この記事は私が書きました

代表税理士 鈴木 宏典

税務財務コンサルティングのみならず、コーチング手法による会社のコンセプトメイキング、ビジョンメイキングを通じたコンサルティングを得意とする。東京・大阪・名古屋・仙台等でセミナーを行い、中小企業のみならず、同業者である税理士のビジョンをもかなえるべく、事務所の仕組化を全国に広めている。