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なぜ今経営理念なのか?

2020年05月20日

・経営理念が必要な理由は3つある

最近、「これからの時代は経営理念が必要だ!」と必要に叫ばれています。
経営理念は、いわゆる一般的な経営計画書には、当たり前のように書かれているコンテンツであり、正直今更ですか?という感じもします。ただ、このように急激にピックアップされるのにも理由があります。私は、経営理念が必要なのには3つの理由があると思っております。

・経営理念が必要な理由1:採用難

最も大きな理由の一つは、採用難です。
人口減少に伴う採用難は、中小企業にとっては大きな痛手となっております。有効求人倍率は、1.7倍を超える勢いとなっており、中小企業だけで考えると、実は9倍を超えるともいわれています。日本の人口も1億2千万人が、2050年には約8000万人になってしまうとの資料もあるほどです。ということは、ますます人が採りにくい時代になるのは、必至で、中小企業にとっては、中長期的に見て、とても大きな課題の一つであるといえます。

では、採用難に経営理念が一体どういう関係性があるのでしょうか?これは、簡単です。
つまり、理念のある会社は、今の若者にとって非常に魅力的に写るということです。私が思うに、今の20代の若者は、社会貢献性に関して、大きな執着があります。50代以上の人間は、「いい家立てて、いい車買って、いい暮らしをする」という物欲が非常に大きいのが特徴です。それに対して、20代の若者は、お金にそんなに大きな執着がありません。それよりも安定を望みます。その分、年齢の高い社長にとっては、非常に物足らなく映ります。「俺たちの時代は、食うために必死だった。あいつらは根性がない」よく聞く言葉ですよね。正確に言えば、ある程度食べられる時代に生まれてるし、即にそこに執着がないため食べるということにモチベーションを感じにくいということが正しい表現かもしれません。

ただ、今の20代は、そんなにいい時代を過ごしたわけではなく、リーマンショックや東日本大震災といった世の中の刹那をダイレクトに感じた世代であるので、いかに自分が自分らしく社会に貢献できるのかということに対して問題意識が非常に高いのも事実なのです。
また、お金にまつわる忖度政治といったいわゆる大人の事情に飽き飽きしているということもあり、お金にまつわる汚くいやらしい大人の事情のないピュアな貢献感を非常に大事にする傾向があります。つまり、20代は、いい意味でも悪い意味でも「社会貢献潔癖症」であることが特徴なのです。そういう意味では、これから就職活動をしようとする彼らにとっては、経営理念、すなわち、社会的意義のあることを行っている企業は非常に魅力的に写るということです。ですので、いくら年収が高くても、いくら売上が伸びていても、いくらキャッシュリッチな会社でも、経営理念のない、経営効率だけを追っているような会社は、彼らには選ばれなくなってしまいます。

また、いくら表面だけいい会社風にしたとしてもすぐにばれてしまいます。なぜか?それは、インターネット上の情報や、FacebookやTwitter等のSNSにおける口コミといった広告でない本当の情報をすぐに得ることができるからです。建前がまったく通用しないのです。本当にいい人材を獲得するためには、採用媒体を充実させるだけではなく、「本当にいい会社」になるということが、表面上でなく、実質的に非常に大事になってきたと言えるのです。そのためには、顧客・社員を巻き込むような経営理念を策定することが急務の課題となっているのです。

・経営理念が必要な理由2:選ばれる理由がほしい

では、もう一つの理由はなんでしょうか?
それは、選ばれる理由がほしいからです。なぜ、選ばれる理由が必要なのでしょうか?それは、現在が激動期だからです。60代、70代がかじ取りをしていた行動成長期からバブル期まで、経済は右肩上がりでした。当時は行政が主導する「護送船団方式」で経済が成長していたものです。そのため、大企業だろうと中小企業だろうと国が示した方向に向かって一生懸命がんばることが最も大事でした。つまり、この時期は「生産性」こそ経営課題の全てだったのです。70代の社長は口癖のように「俺たちの時代は、とにかく徹夜で仕事をしたものだ。今の若いものには根性が足らん!」とおっしゃいます。しかし、一方で、「今の時代は、徹夜しても儲からないからな。今の世代の社長は難しい時代に生まれたものだ」ともぼやきます。
今の時代は、昔と違って供給過多、つまりモノがあふれている時代です。そこにAIの台頭、人口減少、働き方改革といった変化が次々と襲ってきます。このような時代に中小企業が生き残るためには、どうしたらいいか?それは「選ばれる理由」を明確にすることです。すなわち、世の中に「必要なもの」ではなく、喉から手が出るほど「欲しいもの」を提供しなければ生き残れない時代なのです。

昔は、個人が営む普通のケーキ屋さんがたくさんありました。ところが今は、町中のケーキ屋さんは激減しています。なぜか?それは、コンビニがあるからです。コンビニは、200円も出せばケーキ屋さん顔負けの美味しいスイーツが買えます。「中途半端な商品には1円も払いたくない」というのが、消費者の本音です。安くて美味しいコンビニのスイーツが登場したため、町のケーキ店は「顧客の欲しいもの」を提供できなくなったわけです。
ところが、やっかいなのは、「顧客の欲しいもの」が多岐にわたるということです。とても甘いケーキが好きな人もいれば控えめな甘さを好む人もいますし、ボリューム感たっぷりのケーキを欲しがる人もいれば、あっさりしたカロリー控えめなケーキを望む人もいます。値段についても、大切な人に贈りたいと考えるお客さんは値段の高いケーキを買おうとするでしょうし、家族で気軽に食べたいと考えるお客さんならお手頃な価格のケーキがいいかもしれません。このようにケーキ1つとっても、ニーズは様々です。

では、これらのニーズにすべてに応えられるような商品を作ることは可能でしょうか?』答えはノーです。なぜなら、中小企業の経営資源は限られており、全てのラインナップをそろえることはできないからです。逆に言えば、中小企業は一つの戦略をとって、特定の分野に絞って商品を提供する必要があります。
では、その基準となるものはなんでしょうか?その戦略を選ぶ基準は一体なんでしょうか?
それは、経営理念なのです。自分たちがなぜこの商品・サービスを提供するのかという明確な理由と基準がなければ世の中に溢れる無数の競合に振り回されて商品・サービスの一貫性がなくなり、結果として魅力が薄れて顧客が離れていってしまいます。逆に明確な企業理念があれば、御社の商品だから買いたい!という顧客だって集めることができるのです。

・経営理念が必要な理由3:あきらめない理由がほしい

そして最後の理由が、「あきらめない理由がほしいから」です。
2020年、日本に、いや世界中すべての人類に未曽有の事態が襲いかかりました。それは、「新型コロナウイルス感染拡大」です。中国武漢から端を発し、アジアそして世界中へとその感染は爆発的に蔓延してしまうという事態を引き起こしました。いまだ収束する見込すら見いだせない状態にあります。世界中の人が感染拡大を止めるために、無用な外出を止め、自粛をしています。その影響は、経済に大きなツメ跡を残しました。すべての消費行動がストップし、飲食業・観光業・製造業といった主要な業種に大きな打撃を与えることになり、売上は、前年比の20%以下、ひどいところでは、売上が全く立たないという事態にまでなっているのです。体力のない中小企業への打撃は尚更です。国民政策金融公庫等からの緊急融資、補助金・助成金を使ってなんとか生きながらえるので必死になっております。誰が一体このような事態が起こることを想像したでしょうか。本当に一刻も早い回復を願うばかりであります。

今後の経済は、右肩上がりの成長は望みづらいものになるでしょう。つまり、大波小波、良かったり悪かったりを繰り返しながら、企業が成長していくことが普通の世の中になるのです。だからこそ、この難しい経済環境を乗り切るためには、確固たる旗印が必要なのです。それこそが経営理念なのです。この苦しい状況を耐え抜く理由がなければ、仕事はただの苦役になってしまいます。これでは、社員もついていかないでしょうし、何より経営者自身がつらくなってしまいます。

だからこそ、会社全体が「この目的のためなら本気になれる!」と腹落ちでいる経営理念が必要になるのです。今のような新型コロナウイルスによる未曽有の経済不況だからこそ、中小企業に理念経営が求められている気がしてなりません。

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